ラケットは、炭素繊維のシートを丸めたチューブをラケットの形にして、高温・高圧をかけて作ります。
ラケットの強度は炭素繊維シートの配分で調整しますが、人が使えるラケット総重量には上限があるので、軽いラケットほど、強度が必要なスロート部分は重くなり、ラケットの全体のバランスは取れていても、重量配分がイビツとなり使い難くなります。
重いラケットは、ラケットトップとグリップ部分の重量を増やせば均等にすることが可能でしょうが、今度はラケットデザインに影響が出たり、使うことのできる人が限定されます。
それだけでなく、コモディティーとしての素材のコストの上限があるので、軽くて強くコストが安いグラフィンのおかげで、ボールにパワーを伝えやすい革命ラケットができたのがわかります。
ラケットの製造工程
炭素繊維シートの端がグリップ、真ん中がラケットフレームになります。これらの部分には別の透明のシートを貼り付けて強化しています。
シートを丸めて棒状にします。
集めるとこんな感じですが、炭素繊維は芯に巻いています。
ラケットの型枠でラケットの形に仕上げていきます。
ラケットの原型が出来上がりました。
スロート部分は薄く見えますが、実際にはここが一番壊れやすいので、何重にもカーボンが張られて重くなっているので、同じ素材で作られたラケットのスロート部分は重くなっています。
グラフィン導入以前のラケットのグリップ、スロート、ラケットヘッドの重量配分比です。
スロート部分を軽く強度の高いグラフィンで強化すると、ラケットはREVが軽いですが、グリップとトップに配分されている重さがLiteの方よりも重いので、ラケットの持つエネルギー(E=mc2)はREVの方が理論的に大きくなります。
脱線しました。今度は、ラケット原型に温度と圧力をかけます。
出来立ては熱いです。炭素繊維が膨らんで、ラケットらしい流線型となりました。
ストリングホールを空けていきます。
この機械は放射線状に穴を空けていますが、ウイルソンは、ストリングがストリングホールと平行になるように穴を空けているラケット(ジュース)を発売しています。
色を塗ったラケットにリプレイスメントグリップテープを巻いています。ラケットの方が回る機械にセットしているので仕上がりは完璧です。グリップに透明な両面接着テープがリプレイスメントグリップテープと反対に巻いてありますが、”螺旋”になっています。
この方はUSRSAの資格は持ってるか不明ですが、工場張上げ出荷のラケットはこの人が張っているかもしれません。当然工場で張ったラケットで品質検査をします。
フレームを台に置いてガットだけに力を加えた強度試験です。ガットは切れずにフレームが壊れますが、実際の使用で負荷がかかるのはスロート部分です。
振動検査もやってます。
工場張上げ出荷のエキストリームでも良いと言えるのは、必ず製品検査の行程を経て出荷されるので、大手のラケットならば、ガットを張り上げて出荷したラケットの不良品の確率は低いと考えられるからです。
参考にしたYouTube動画を貼り付けていますので、時間のある方はご覧ください。
ヘッドのラケットができるまで
English - HEAD Making of: Tennis Racquets - YouTube
ウイルソンのラケットができるまで
How a Tennis Racquet is Made - YouTube
グラフィンの利点
HEAD Graphene - SHIFTING THE BALANCE OF ...