今回は、階段の上り方での足首の形とテニスの打点でのラケットと腕の形の話になります。
階段を上る動作は、習慣化しているので、階段の平らな所に、つま先又は踵に体重をかけて上る人がほとんどです。
この上り方で、足首は「く」の形(角度が、90度以上)になります。
ほとんどの人は土踏まずから着地して階段を上りませんが、たまたま、アキレス腱を伸ばそうと考え、土踏まずを階段の角に着地するようにしてみました。当然、足首に体重がかかり、目的通り、アキレス腱とふくらはぎが伸びますが、この時、足首は「L」の形(90度未満)になります。
「L」の形の難点は、バランスが悪いとヨロケることですが、土踏まずからの着地に慣れると、「く」の形のつま先着地よりも疲れ難いので、つま先着地で階段を上らなくなります。
この2つの足首の形、「く」と「L」は、打点でのラケットと腕の形に通じる点があることに気が付きました。
ラケットと腕を意識しない打ち方だと、打点でラケットと腕は「く」の形(90度以上)になります。これは、普段の階段を上る動作と同じ不随意運動です。この打ち方でタイミングが合えば、ボールは飛ぶので、ほとんどのテニス愛好家は、ボールを打つ時に手首を意識したことはないと考えます。
力を入れても脱力しても、不随意運動なので、ラケットと腕は「く」の形(90度以上)になります。当然、ラケットを買い替えて、当たりが変わったとしても、同じスイングをしている限り治りません。
プロ選手の多くは、前動作でリストラグ(ロックイン)ポジションをとってから、ボールコンタクトしています。
というのは、この前動作をしなければ、手首とラケットの角度が「L」の形(90度未満)にならないからです。
つまり、プロ選手の打ち方は、テニス愛好家のような不随意運動ではなく、随意運動になっています。
前動作で「L」の形を意識して作り、その形のままボールを叩いています。
これは、階段を土踏まずで上るのと共通点があります。ある程度練習は必要ですが、手首とラケットで「L」の形を感じたまま、ラケットをボールに当てる打ち方をすれば、スイングがシンプルになり、誤作動が少なくなるため、ストロークは疲れず、安定します。
話は変わりますが、テニスエルボーは、不随意運動でラケットを振ることにより発生する症状だと考えます。
テニスが難しいのは、コートという限られたエリアで、ボールを打ち合う競技だからです。
テニスは、不随意運動でできるパフォーマンスに限界があり、悪い習慣は怪我に繋がります。それはテニスの動作の多くが随意運動で成り立っているからでしょう。
知識だけ、見るだけ、教えてもらうだけではなく、これらを定着させるための意思が必要です。テニスがなかなか上手くならない理由はここにあると思います。