Regnirt-sorpの日記

a recreational tennis player's bible

第3種のテコの原理

トッププロ選手は、運動法則と第3種のテコの原理を利用したラケットの使い方で、ボールに強い力を加えていると思います。

表面的な動作を真似ても、同じような球を打つのは難しいので、多くの愛好家は我流のスイングになっています。最近のラケットを使っているなら、プロのようなスイングを修得した方が驚くようなボールが打てると思います。

ボールに強い力を加えるための法則は、ニュートンの運動の第2法則に当てはまります。それは、物体の運動量P(質量mと速度vを掛けたもの)の時間tに対する変化率は、そのとき物体に作用する力Fに等しいという法則で、方程式は、F=dP/dt です。
 
この法則を知らなくても、大半の愛好者は、強いボールを打つために、ラケットのスイングスピードを上げようと試みます。ところが、大振りすればバックアウトになるので、年々ラケットを重くして力を加減する現在のラケットワークになっているのではないでしょうか。

昔に比べて革新的に強く軽いラケット素材が開発されています。これまでラケットが重くなる原因は素材の強度不足によるものでした。新しい素材の登場で、重量配分の自由度が増し、軽く強度の高いラケットを作ることができるようになっています。

ラケットの使い方ですが、肉眼的に見えるスイングスピードはプロ選手やアマチュア選手の方がゆったりしています。それでも球威やスピン量は一般の愛好者とは歴然とした差がありますね。

このゆったりしたラケットの使い方が、革新的素材で作られたラケットでインパクトの瞬間にラケットスピードを最速にする唯一の方法です。理屈は第3種のテコの原理です。

プロ選手のラケットの使い方は、テイクバックからインパクトまでラケットの移動速度を上げていません。インパクトまでのスイングを撮影してもラケットの画像がスピードでブレないスイングをしています。つまり、インパクトまでゆっくりラケットを移動することがインパクト瞬間の移動速度を早くするコツだと考えます。
 
 愛好者では故障の原因となる変則的なフォームから、力任せに強い球を打ったりスピンを掛ける人がいます。

プロ選手やアマチュア選手のように長時間にわたる試合でも最後まで美しいフォームで強い球を打つことや綺麗なスピンを掛け続けることができるのはラケットの使い方が違うからだと思います。
 

参考
第3種てこ(Wikipediaから引用)
テコで大きな運動を得る場合は、支点を力点と作用点の外側で、かつ力点に近い場所におく。左側を作用点とした場合は、左から『作用点、力点、支点』の順になる(下図参照)。
 
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力点と作用点にかかる重さの関係と利点
力点に加えた小さな運動は、作用点において大きな運動となる。その代償として、この種類のテコは、加えた力よりも小さい力が伝えられる(下図参照)。
 
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 第3種のテコは、作用点に働く力は小さい代わりに、作用点の移動距離が大きいため、大きな速度を得ることができます。あくまで、支点は肩、力点は腕です。
 
野球のバット、ゴルフクラブ、ラケットなどは、これを利用して、ボールを遠くまで飛ばせるし、自転車も、ギアの直径よりも車輪をはるかに大きくすることで、足の動作より速く進むことができます。 
 
スチームSのスナップバック画像
強い球を打ったり、スピンを掛けるのは、メインストリング(縦糸)のスナップバック を利用しています。第3種のテコの原理を利用したスイングは、スイングスピードを効果的に上げ、スナップバックが利用しやすくなります。これに加え、プロのストリンガーさん達は、ガット種類やテンションの組み合わせでその効果が出やすくしていると思います。
 
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スナップバックの大小により、球威やスピン量に差が生じることは恐らく業界では常識だったと思います。スチームSは通常よりも大きなスナップバックを出すために開発されたラケットですが、その効果を実際に見ることができるようにしたのは画期的なことです。
 
スチームSは強い球やスピンの掛かったボールを打てるラケットではありますが、やはり前提は正しいスイングフォームの修得と考えます。