Regnirt-sorpの日記

a recreational tennis player's bible

裸の王様たち(寓話)

裸の王様とは、政治家や会社の社長などに対し、周囲がイエスマンばかりで、直接耳の痛いことを言う人間がいない場合、政治家や社長も、陰では政策などが酷評されているにも拘わらず、自分が言ったりやったりしていることは全て正しいものだと思っている。というような状況を指します。

あるところに、自分はテニスが上手いと思い込んだ4人のテニスの王様とプロのストリンガーの王様がいました。テニスの王様は、試合、テニススクール、所属するサークルで使うために、プロのストリンガーの王様に最高級のガット張りを頼みました。
プロのストリンガーの王様は「これはオリジナルストリングを使った最高の組み合わせでガットを張ったもの」などとうんちくをたれますが、見た目はいつも近所のテニスショップで張ったのとかわりません。強いて言うなら、クランプの跡が目立たないことや、面の仕上がりと結び目が丁寧な出来上がりなことです。
1人目のテニスの王様は、このラケットを使ってみましたが、いつもよりソフトな感じがしただけでした。一週間もしないうちにガットが切れてしまったので、プロのストリンガーの王様に二度とガット張りを頼むことはありませんでした。
2人目のテニスの王様は、このラケットを使ってみましたが、これまで使ってきたラケットと変わらないので、グリップテープを買う口実で、プロのストリンガーの王様にラケットの特徴を恐る恐る聞いてみました。プロのストリンガーの王様は「このラケットは馬鹿には使えない仕上がりになっています。」と答えました。それを聞いた2人目のテニスの王様は慌てて「いや、いや、これは何とも立派なラケットだ。」と言い、仕方なく、ガットが切れるたびに、張替えを依頼するようになりました。。
3人目のテニスの王様も、2人目のテニスの王様と同じように、これまで使ってきたラケットとの違いがわかりませんでしたが、馬鹿呼ばわりされるのが嫌で、「これは何とも立派なラケットだ。」と言ってしまいました。3人目のテニスの王様は、それでは納得がいかないので、違うラケットを何本か頼んでみました。が、やはり違いがわかりません。何が問題なのか遠回しに聞いてみました。プロのストリンガーの王様は、「正しいスイングができることが必要だ。」とさらりと答えました。3人目のテニスの王様は、どうしてもこの最高といわれるラケットを使いこなしていることを証明したくで、教えを請いましたがそれには交換条件がありました。
それは、プロのストリンガーの王様に忠誠を誓いテニス以外でも、絶対服従することでした。具体的には、テニススクール、テニスサークルは直ぐに辞めること。テニスの附帯品(ラケット、ボール、アパレル、シューズ、グリップテープ)全てを自分に依頼すること。3人目のテニスの王様の仕事やプライベートのインサイダー情報を提供すること。ボランティアで、知的及び肉体労働奉仕(プロのストリンガーの王様を宣伝)をすること。などでした。ラケットやガット張り代は、対価として提供するものに比べるとタダ同然ですが、3人目のテニスの王様は、条件を受け入れてプロのストリンガーの王様のしもべとなりました。
4人目のテニスの王様は、3人目のテニスの王様と同じようにプロのストリンガーの王様のしもべとなり、最高のラケットを使い「正しいスイング」の教えを実践していました。
ところが、何年かするうちに、プロのストリンガーの王様のガット張りの効果をコモディティ化した革新的なラケットができました。4人目のテニスの王様はコモディティのラケットを使うことを決心して、プロのストリンガーの王様のしもべを辞めました。
※内容は、フィクションです。