Regnirt-sorpの日記

a recreational tennis player's bible

最高のラケットサービス(ガット張り)を買わない理由

一言で言うと、必要ないからです。そんなラケットを握らなくても、試合には勝つことができる人や楽しくテニスができる人達が、国内でテニスをしている人達の大半であり、総意でショーから。

しかし、最高レベルのガット張りを自負するテニスショップの中には、自分のガット張りを全ての人が使わないのは、同業者がありもしないデマを流して、自分の商売を邪魔していると考えています。これは理論的には成立しません。自分のお店にとって、この事態を先導している業者がいると推論することはできません。自分に都合の悪いことを操作している業者のシナリオライターが存在するというのは、陰謀史観と言います。これは、複雑な状況を単純化して把握したいと望む知性の怠慢がもたらすもので、反知性主義のひとつの現れです。そんな風に考えて営業をしているテニスショップに限って、学位尊重だったりして、顧客に博士課程がいることをあたかも自分の技術のお墨付きにしたりしています。学位というのは、狭い分野において斬新性があるノイエスに対して与えられたものであり、テニスのガット張りとは分野や専門性が異なるのに、お墨付きを重視する意味がわかりません。旧オウム真理教で学歴の高い人が信者になったのを参考に、説得し易いと考えているのかもしれません。

考えればわかりますが、今の日本のテニス人口は減少しており、多分業績を伸ばしているのは、大手ネット(アマゾン、楽天、ヤフー)の仮想商店街、人が集まる繁華街の大型テニス専門店舗、大型商業施設内のスポーツ量販店舗、であり、結果的にテニス市場の用品販売の大半を受益していると想像できます。大手メーカーといえど、この強烈な販売力に頼らざるを得ません。数多くのメーカーアイテムが集まり、品揃えが充実していれば、ほとんどの商品を希望価格で販売することができるからです。シーズンやモデルの入れ替え時期にアパレルやラケットの特価セールができるのには理由があります。消費する側も選択することができ、文句を言われる面倒もなく、ガットの張り替え以外は、ワンクリックすれば、数日で商品が届きます。このサプライシステムが、テニス用品販売の優勝劣敗の要因になりつつあります。

売り上げに影響しない小さな小売店を誹謗中傷する無駄な労力をかけなくても、消費者は勝手に選んで注文してくれます。だって便利だから。

テニスショップのガット張り技術は、評価される要素ですが、消費者の優先度は、最高レベルのガット張りではありません。だから、テニスと全く関係のない博士号取得者が理解を示した!としても、最高レベルのガット張りでないと自己実現できない!と大声で叫んでも、琴線には響きません。実際、消費者の嗜好を否定して、自分の正当性と理想論ばかり言って、辺鄙な場末の品揃えが乏しい小さなお店に、旅費を自腹で払って買いに来い!と上から目線で命令するテニスショップなんかに関わりたくはないのが本音でショー。逆に、こんなお店で購入したり、常連顔して出入りしたりするお客さんの気持ちがわかりません。

独り善がりのテニスショップの技術が10年先行こうが、自称人類頂点のガット張りであろうが、希少価値だろうが、今のテニス消費者の嗜好は、自分のお気に入りのメーカーのラケットフレーム、ストリング、アパレル、アクセサリーをワンクリックで確実に供給してくれるお店があれば、一部のそれが必要な人を除き、なくても困らないでショー。

国内テニス人口は減少していますが、毎年、製品素材や商品流通が進化しており、ラケット、ストリング、ボール、テニスアクセサリーが、コモディティ(日用品)化しており、昔に比べて品質が高く豊富な品揃えの中から、誰でもが買える価格帯で選択できるようになっているのは幸せなことですな。

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ほんの5〜6年前、比喩が正しいかはわかりませんが、マイケルチャンが活躍した時代から錦織圭が活躍するまで(iPhoneが登場する以前、ロシアドーピング曝露前)には、最高のラケットと言うものが確かに存在していたかもしれません。その理由は、インターネットによる膨大な情報、世界的な物流、高品質な製品を作れる品質管理、等のない時代は、入手できる限られたカオスの中から他の人がまだ知らない情報や知識によって、相対的に評価ができる最高のラケットを完成させることができたからです。今の時代はどうでしょう。製造物の品質分析技術が進み、悪いモノが市場から退場させられてきたことや膨大な情報に簡単にアクセスできるため、カオスでありながら、特定の人しか知らない情報が少なくなり、安くても一定基準以上の評価ができるものが大量に流通する時代になりました。だから、高級品と言えども、コモディティ(日用品)と評価される時代になっています。つまり、かつて、プロのストリンガーさんしか作成できなかった最高のラケットと、素人が市販されている大手メーカーの製品を集めて組み上げる普通のラケットとの差が限りなく縮まっています。もしかすれば、プロのストリンガーさんもそれに気がついて、消費者を惑わすために目先を変えた宣伝(ネタばれすると困るはずなのに、小学生でも分かる科学と言ってみたり)をしているということもありますな(笑)。