Regnirt-sorpの日記

a recreational tennis player's bible

注文の多いテニスショップ

宮沢賢治の短編小説に「注文の多い料理店」があります。

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山奥で狩りを楽しんでいた裕福な2人の猟師が、いつの間にか日常とは異なる世界に迷い込みます。その世界の食堂で、自分たち人間が動物に食べられる側の存在となってしまったことを知り、彼らは恐怖すると言ったストーリーです。

 

ここからは、注文の多いテニスショップのお話です。架空のお店ですが、ネットで検索すれば似たようなお店が見つかるかもしれません。

注文の多いお店と関わりを持ってしまうと、必要以上に大量のテニス用品を買う羽目になります。必要ないものをたくさん買わされたことで、家に溢れるテニス道具の処分に困り、「過ぎたるは及ばざるが如し」を痛感します。身体は一つ、時間は有限です。テニスでは使う道具が多いと言われますが、不用な道具を買ったり買わせられる必要はありません。注文の多いテニスショップに行かないことを祈っています。

注文の多いテニスショップでラケットを買うためには、今まで使っていたラケットを始めとするテニス道具やテニス人脈は、今後一切使わない、関わらない契約をさせられます。

契約を交わしても、優先的に大事にするのは裕福なお客なので、必ず、初めての来店で、年収と職業を聞いてきます。会話を通じて、裕福で優柔不断だと判断されると、注文の多いテニスショップで買い物をすることが許されます。

注文の多いテニスショップでは、最高のラケットサービスを買うと後戻りしないと言われ、他のお店では買わないことを契約で強制されます。そうなれば、今までのラケットはもう使わない前提になり、ラケットは新しく購入することになります。そこで、勧めてくる新品のラケットは、国内ではほとんど見かけることのない海外メーカー品、型遅れ品や中古品で、複数本の購入を勧めてきます。買ってもらわないと自画自賛のラケットサービスを使わせることができないので、お客の手持ちのお金が少ない場合は、値段が1万円の厳選中古ラケットや安くなった旧モデルをとにかく売りつけてきますが、契約履行の踏み絵なので、買わないといけません。購入した知らないメーカーの新品ラケットをネットで調べてみると、英語の本家ウェブサイトは普通ですが、日本語のウェブサイトは、いつ更新されたのかわからない、国内販売代理店がやっつけ仕事で制作した情報内容しかありません。

アマゾン、楽天市場、ヤフーのネット仮装店舗や、スポーツオーソリティやゼビオスポーツ、アルペンと言った実店舗の量販店でも、取り扱いが極端に少ないか全くありません。見つかるのは、国内発売当時に出回った中古ラケットです。それにもかかわらず、注文の多いテニスショップは、どう考えてもそのメーカーの競技向け仕様なのに、女性向け簡単系とか、メーカー公式ウェブサイトに一切書かれていない内容でセールスしてきます。

注文の多いテニスショップは、ラケットは、複数本以上買わないと買う意味がないと言ってくるので、最低でも2本以上ラケットを買うはめになります。更に、同じメーカーのラケットバッグを追加で無理矢理買わされます。理由は、「テニス先進地(最近は国際社会とも言っています)ではそれがジョーシキ(あるいは総意)」という、注文の多いテニスショップのルールが適用されるからです。ラケットバッグは、毎年買い替えるのも、テニス先進地や国際社会ではジョーシキや総意のようです。

もちろんラケットを買えば、ラケットバッグよりも優先するのはストリングを張ることです。注文の多いテニスショップでは、有名メーカーのストリングも一通り置いていますが、売る気が全くありません。それは、注文の多いテニスショップのPBストリング(メーカー品の業務用包装のプライベートブランド)を売るために用意した、市販のストリングの欠点を説明するための比較サンプルだからです。いきなり、市販の有名メーカーのベストセラーストリングを張るようにオーダーすると、注文の多いテニスショップ店主の機嫌が悪くなり、予期せぬ叱責を受けることになりますので、注意が必要です。

注文の多いテニスショップで販売するPBストリングは、ナイロン、ポリエステル、ナチュラルガットがあり、約700種類以上の組み合わせがあるそうです。

テニスウエアハウスのカタログにあるストリングメーカーは、日本で発売されていないメーカーを含めて、35社掲載されています。各メーカーは、ナイロン、ポリエステル、ナチュラルガットを、数種類の太さ(15、16、17、18ゲージ)で製造しているので、市販のストリングの種類は、1000以上になります。

ストリングメーカーは、ユーザーに選ばれないと未来はないので、どのメーカーもベストストリングがあります。ストリングは、使わなくても、年数が経てば劣化しているので、古いストリングは、強度が落ちており、切れ易くなります。保管状態で消費期限は変わりますが、店頭品のリールやパッケージなら、製造してから3〜4年、業務用の紙BOX入りなら5年といったところでしょうか。ストリングが切れやすくなるのは、ストリングそのものの消費期限が古いことが多いからだと思います。しかし、注文の多いテニスショップでは、そうは説明しません。銘柄でストリングを選ぶのは間違いとだけ主張して、不安を煽ります。商売人なら誰しも自分のお店の商品だけ売ることしか頭にありませんので、それは仕方ありません。

全メーカーのストリングの良し悪しを個人で検証するには、一生かかります。そんな暇な人はいないので、どこのメーカーが一番かは判定できません。だいたいの人は、大手メーカーのベストセラーと言われる、ナイロン3種、ポリエステル3種、ナチュラルガットで、ゲージはそれぞれに3パターンくらい試してみて、一番あったストリングを使って、テニスをしていると思います。最初に使って良かったストリングをずっと使っている人も多いとは思います。

そう考えると、ストリングメーカーはそんなにいらない気がしますが、ストリングは、テニスのライフラインであり、ストリングメーカーは売れなくても、世界中のテニスプレーヤーのために存続する責務で事業継続していると思うと、ストリングを銘柄で選んで買うのが何故ダメなのか、消費期限以外の理由があれば、教えて欲しいです。

張り替え時期を明確にしているバボラは、だいたい3ヵ月で張り替えするようカタログに書いています。注文の多いテニスショップが売るストリングの張り替えは、だいたい半年から一年で張り替える必要があると説明しています。

しかし、実際には張り替え時期を急かされます。どういうことかといえば、お客のフィードバック結果に基づいて、毎月のようにPBストリングやその組み合わせを変えて、スピン性能が改善した、耐久性が高くなったと、新しいストリングを出してくるからです。張り替えが半年なのに、新ストリングはほぼ毎月出てきます。注文の多いテニスショップからは、新ストリングを試すように急かされるので、まだ使えるストリングを張り替えないといけなくなります。新ストリングは改善されたことになるので、今使っているストリングの再発売はありません。今とフィーリングが違うのを怖れて、ラケットを偶数本ずつ買い増して新ストリングを試すお客もいます。それを可能にするのが安いフレームです。主力販売するラケットフレームは、大手メーカーの国内正規品の最新モデルの半額以下の価格帯となる中古や型遅れのラケットフレームです。安いラケットフレームなら、大手メーカー国内正規ラケット2本分の予算で、6本以上買わせることができます。新発売のストリングを毎月のように宣伝して、安いラケットフレームを売り捌くシステムが、注文の多いテニスショップの特徴的な販売手法です。

注文の多いテニスショップでラケットを買い増すと、あることを言われます。それは、定期的なメンテナンスです。テニス先進地や国際社会のジョーシキや総意では、ストリングは半年、グロメットやリプレイスメントグリップは毎年変えないといけないそうです。ラケットの所持本数が多くなれば、注文の多いテニスショップの理屈だと、使わないラケットやたまに使うラケットも定期的にメンテナンスしなければなりません。シーズンオフには、中古品市場から昔のラケットを集め、アンティークラケットをステータスとして持っておくべきだ!と言われ、昔の名品シリーズを買わされますが、当然メンテナンスの対象ラケットとなります。注文の多いテニスショップでラケット買うと固定費がかかるので、船、別荘、お妾さん(古い?)並の買い物になります。

ラケットをたくさん買ってみるとわかることがあります。それは、ラケットが同じでも違うストリングを張った場合や、同じストリングでもラケットメーカーが違う場合に、使い勝手が違い、同じシチュエーションでラケットを使うことはないので、どのラケットが良いかわからいことです。極端な話、10本ぐらい買ったところで、いつも使うラケットは、自分が一番スイングしやすいラケットだと気がつきます。それに気がついた時点で、いらないラケットが8割に達します。

この注文の多いテニスショップで購入した安いフレームだけを使っていると、最新のラケットを作ったとき、使いやすさと性能の進化に驚きます。注文の多いテニスショップで購入したラケットは、中古や旧モデルのラケットですから、その中で一番使いやすいラケットでも、大手メーカーの最新モデルのベストセラーラケットの使いやすさと性能には全く及びません。どんなラケットを使って違いを感じない人はいると思いますが、使い比べれば、注文の多いテニスショップで購入した安いフレームにいくら素晴らしいPBストリングを張っても、相当使い難いのはわかります。古いラケットのバランスやスイングウエイトをいくら弄っても革新素材を使い、空力抵抗をなくした最新ラケットデザインには敵いません。

しかし、注文の多いテニスショップでは、最新ラケットを売る商売では、缶ジュース並みの原価率で、利益率が高い新古品や中古品のラケットが売れなくなるので、ラケットだけは、他のテニスショップのように新モデルが発売されても絶対にメインで宣伝しません。新モデルが出たときに宣伝するのは、改善したPBストリングを張った旧モデルであり、必ず新モデルと同等のラケットだ!と言ってきます。メーカーに唾するこの宣伝内容は、驚愕です。

グリップ関連商品については、注文の多いテニスショップからの指示が多すぎて、ラケットを10本くらい持っていないと、数回使うだけで替えることになり、勿体なくで、どうしたら良いかわからなくなります。例えば、色々なカラーを選べと言われます。安いオーバーグリップテープは、テニスが下手になるので、買ってはいけないと言われます。安いオーバーグリップテープを要望すると、価格が5倍する世界一と言われるオーバーグリップテープをコストコ的大容量パッケージで買わされます。単価は安くなりますが、トータルの支出が多くなります。大容量パッケージを購入したら、直ぐ、高品質のレザーグリップテープが良いと言われます。するとまた、前回勧めていたのと機能が違う高級オーバーグリップテープが良いと言われ、しばらくすると、また良品オーバーグリップテープが売れていると言われ、全く一貫性なく勧めてきます。これは、ラケットをたくさん持っている前提の確信犯ですが、最近は、リプレイスメントグリップは、直接握るもので、汚れるまで使って交換するのが、テニス先進地や国際社会のジョーシキや総意だと主張されています。これだと、ラケットを2本くらいをメインで使う人は、汚くなるのが早く、毎月お店にラケットを持ち込んで、リプレイスメントグリップの交換が必要になります。そうしないためにオーバーグリップテープが開発されたと思うので、意図が訳がわかりません。

テニスには、ボールが必要です。注文の多いテニスショップでは、箱買いが条件ですが、なぜか、他店より1円でも安くボールを売るのをステータスにしています。しかし、注文の多いテニスショップでラケットやボールを買う人の多くは、変わり者なので、テニス生活では、ほとんどの人がボッチだと思います。テニススクールに通うしかテニスをする方法がないのに、たくさんのラケットを所持させられ、ボールは箱買いさせられるので、テニス道具が家の中に溢れます。ボールを消費させるのに、注文の多いテニスショップが考えたのが、テニス雑誌に載っている記事を配って、最新テニステクニックを教えるテニス教室を開くことでした。レッスン料金は、ほぼ只で、参加者の個人負担は、コート予約当番と割り勘のコート代で、毎回ニューボールを使わせます。参加費が安く済むので、参加者には、毎回、4缶入りのニューボールを開けさせて、ボールを自家消費させます。毎回色々なテクニックを教わりますが、スポーツのテクニックは、反復練習でしか身につけるしかないので、ニューボールを作って練習して気分が良くなるだけです。その結果、1回しか使わない使用済みボールが山のように溜まります。ボールをたくさん使えば、1回の練習くらいでは、案外ダメにならないので、その疚しさから、一時保管用の良品ラケットカゴを勧めています。結局まとめて新品同様のボールを捨てるのには変わりありません。ゴミの日に出すとき、いつも「勿体ない」と罪悪感を感じます。ボールもラケットカゴも家の中で場所をとる粗大ゴミ予備軍になります。

お買い得な売れ筋商品と言われ、半額シューズを買わされます。注文の多いテニスショップでは、昔は、アシックスやディアドラを推奨していましたが、ネットや量販店の方が、種類やサイズが豊富なので、今のおススメメーカーは違うみたいです。初めて知りましたが、シューズには、体重制限や寿命があるそうです。注文の多いテニスショップで取り扱っているシューズにはBMIが高いと合わないものがあるとか、シューズは半年で買い替えるものだとかです。そうなると、年2回はシューズを買うことになります。異なるコートサーフェイスで使うなら、その倍数になります。フィリピンのイメルダ夫人(古い?)の靴コレクション並みに、まだ履ける新品同様のテニスシューズが溜まっていき、普段の靴よりも多くなりそうです。

テニスウエアですが、注文の多いテニスショップで取り扱っていない、ナイキ、アディダスユニクロアンダーアーマーやラケット製造メーカーのアパレルは着用してはいけないそうです。指定するのは、普段着のような海外メーカーのウエアか、テニスサークルのメンバーがお揃いで注文するチームTシャツ素材のシャツやパンツです。これの色違いを数着、毎年買わされます。アンダーアーマーとかの革新的な素材を使ったアパレルを着用した人はわかると思いますが、旧素材のシャツには戻れないはずです。アパレルだけは、実際に着用してテニスをしてみないと、サイズや機能が合うかわからないので、自分に合うものを大手量販店レベルの取扱品揃えから選択する必要があります。

 

まだ書き足りませんが、注文の多いテニスショップとお付き合いすると、不用のテニス用品を買わされて、大量に送られてくるので、一部屋をテニス専用物置にすることになります。